87年から12年間205GTIに乗った。ちょうど夏の盛りの暑い頃、その可愛いやつは、その年の暮れに生まれた長女より一足先に我が家の一員となった。
何がそんなに良かったのかって?... そりゃーもうすべて... ―「走る、曲がる、止まる」の三拍子はもちろんのこと、ほんの零コンマ数ミリのアクセルワークに瞬時に反応するエンジン。加速し、ギヤをチェンジしクラッチをつなぐ... ―その瞬間瞬間が楽しかったのだ。
今のクワトロは悪コンディションになればなるほど増す信頼感、全天候型万能のスーパーカーだが、こと運転の楽しさという点では、(もちろん車のサイズが違うから単純に比較されてはクワトロの立つ瀬がないのだが)205GTIの一人勝ち。とにかく乗っている瞬間瞬間がsuper FUN TO DRIVEな車だった。
楽しかったのは運転だけではない。まずそのキュートなスタイル... 。一目でそれとわかるプジョー家伝統のつり目は、307や206といった最新の姉妹たちや国産他メーカーのパクリモデル達とちがって、205ではあくまで控えめに抑制の利いた精悍さで自己主張をしていた。それでいてバックミラーに映った瞬間に前を行くドライバーにその存在をアピールし、見るたびにその美しさに思わずはっとさせられる魅力的なフロントマスクだった。
流れるようなサイドラインは4mに満たない全長を全く意識させない流麗さ。そしてなんといっても極めつけはそのキュートなお尻。小柄なサイズを全然意識させないフロントおよびサイド回りと対照的に、キュッと引き締まったそのお尻が、今も尚、205のスタイルの魅力を新旧大小を問わず国内外の他の車達から際立たせている。間違いなくピニンファリーナの最高傑作のひとつがここにあった。
to be continued...